元スーパー店員がFIREしました(備忘録)

20年前からコツコツとFIREに向けて取り組み、52歳でサラリーマンを卒業しました。

食品スーパーのクレーマー

スーパーマーケットに勤めるしがないサラリーマン、スーパーマンです。

 

スーパーにはいろんなお客さまが来られます。

ほとんどのお客さまは、普通にお買い物をされ普通に帰られ、食品専門スーパーのおおよその滞在時間は5分から10分程度です。しかし、中には1時間を超えるお客さま?もおられます。

そのお客さまは、週に3回から4回買い物に来ます。75歳のおばあさんで息子45歳位(独身)と一緒に住んでおりどうやらうまくいっていないようだ。

息子がDVをしてくるだの、作る料理がまずいと言われてつらいだの1時間ほど相手をする。お客さまだから仕方がないって?いやいやいや、1時間ですよ、1時間!!そりゃ、自分の仕事も止まりますわ。百貨店ならまだしも、食品スーパーで1時間を一人のお客さまに時間をとられるなんてありえませんわ。おかげで仕事も止まり、時間通りに仕事がはかどらず残業となる始末…

 

店舗に対する要望やクレームなら真摯に受け止めて「お客さまの声」として対応するが、内容がプライベートなことや、個人的な感情で店員をけなすような内容であるのでこちらも対応のしようがない。

どうやら日々のさびしさやストレスを店員にぶつけているようだ。

もちろん、接客で10分程度のお話しをお客さまとすることはよくあり、それが楽しいひと時だったりする。別に話をすることが嫌なのではない。

なんせ、時間つぶしでこちらにややこしい話をわざとふっかけてきて相手をしてもらいたいようなのだ。がまんすればいいことなのだが1時間も相手をするのは苦痛だ。

なにより、この迷惑な一人のお客のために、その他大勢のお客さまにご迷惑をおかけしていることが大問題だ。

スーパー業界は、毎年売上不振に陥っており1店舗あたりの従業員は大幅に減らされている。その日がまわるぎりぎりの人数で運営しているのだ。接客も仕事だが、1日に数回大量に納品される商品を仕分けし、1分でも早く商品を陳列しなければお客さまに迷惑をおかけするし売上にもつながらない。一人でも人員がかけると全体の仕事に大きく遅れが生じ、チャンスロスや、他のお客さまへ対応する時間が取れなくなったり、お待たせしてしまうことになる。

一人の接客くらい…という意見もあると思うが、それはスーパーの労働環境を知らない人の意見だ。

 その他にも、理不尽な要求をするお客さまが来店される。

レシートも現品なく返品を要求し、お断りすると逆切れする客、刺身や肉など生ものを返品しようとする客、自分が売り場からとった冷蔵商品を戻さずに、常温売り場に放置する客、こちらのミスにつけ入り過大な要求(土下座、金品)してくる客、すべて食したあと、まずかったから全額返品しろという客、商品を遠方まで閉店後すぐに持ってこいという客、開店、閉店時間を自分のために早く(遅く)しろ、サービスで付けている箸やポリ袋を大量によこせ!といってくる客、など色んな人いるわ~

こちらが対応できかねる旨を伝えると、彼らが共通して使う言葉は「お客さまは神様やろ」と言います。

 

「お客さまは神様です。」この言葉は、日本のサービス業界でよく使われ、勘違いした質の悪い消費者を増加させてしまった

 

最近になって、ようやく過度なクレーム要求は犯罪になるとの報道がされるようになってからこの手の客が少し減ってきたような気がするが、やはり少数ながらまだ生息している。

この手の客の年齢は、

55歳~60代以上が最も多い

20代、30代、40代、は少ない。

いわゆるバブル経験世代だ。

高度成長期~特にバブル期を体感した世代は、わがままでたちが悪い。

また特にこの世代の専業主婦はたちが悪い。

彼(彼女)らの感覚はあの当時のままではなかろうか。「無償サービスを受けて当たり前」の感覚だ。労働人口が潤沢で給料が右肩上がりで上昇していた時代だ。あのころは、無償サービスする側も余裕があり、多少のわがままでもある程度は許容できた時代だった。

しかし、あのころとは今は違う、会社は経費を削減し、リストラで人員を徹底的に減らした。一人当たりの業務量は圧倒的に増えて従来のようなサービスを提供できなくなってきている。

スーパーの数も20年前より増えた、コンビニもそうだ。競争は激化し各社生き残りをかけた戦争が20年以上続いている。売上は毎年のように下がり続け、人件費は減らされ、他社と差別化するには、コストがかからない「接客サービスの向上」「挨拶運動」などと安易な経営戦略に走った。

結果、従業員は疲弊し、長時間労働サービス残業が当たり前となっている。

ブラック企業」、「過労自殺」、「鬱」、こういったキーワードがニュースでてくるのも当然やな、と現場にいる私は思うのである。

日々の業務(品出し、発注、仕分け)に追われ、接客までできない状態に陥っているスーパー従業員が大半だと思う。

こんなことで本当に心からの接客ができるのだろうか。

おまけに、そういった過酷さの中でクレーマー客からの過剰な無償サービスの要求がある。

人手不足、人材不足で対応がさらに難しくなってきている。

ようやく最近になって「クレーマー」の存在が明らかになってきたから、サービス業従業員も助かったのではないだろうか。10年くらい前までは、なかなか世の中も会社の本部も理解がなかった。本部と現場で板挟みになって疲弊している従業員が多かったと思う。

お客さまに常に感謝して、より安全でより良い商品を適正な価格で誠実に販売することがスーパーの従業員の使命だ。そして、お客さまに喜んでいただこうとする姿勢は大切だ。

 

我々はお客さまの奴隷ではない。

 

 お客さまも人間、従業員も人間。

 

みなさんはどう思われますか。